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小林啓倫

小林 啓倫
東京都内のコンサルティングファームで働くシロクマ。吉祥寺近辺に出没中。

家探しをするときに使えるWEBサイトを求めて、日本国内から海外のサイトまで、様々なサービスを探って行きます。

本人は18歳の時に親元を離れ、以来国内で6回・海外で1回の引越しを経験しました。現在は家族(妻1・娘1)と一緒に、賃貸マンションに生息しています。

スマッチブログと共に、POLAR BEAR BLOG(個人ブログ)、シロクマ日報(ITmedia オルタナティブ・ブログ)という2つのブログも更新中です。また有志と共に、社内ブログ/SNS研究会を運営しています。


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「開け閉めしやすい」という優しさ

高齢社会が到来したことにより、公共施設だけでなく、自宅でのバリアフリーが注目されています。スロープや手すりなどはごく一般的なものですが、次のような製品も開発されたとのこと:

文化シヤッター、静音で軽く動く高齢者集合住宅向け玄関引き戸 (日経トレンディネット)

文化シャッターが開発した、高齢者集合住宅向けの引き戸「ヴァリフェイス」について。ちなみに公式サイトでのプレスリリースはこちら(PDFファイルへのリンクになります)。

どの辺が「高齢者向け」なのか。ポイントは2つあって、「静音性」と「操作性」だそうです。つまり静かに開け閉めできて、しかも力が要らないということですね。公式リリースでは、以下のように解説されています:

"機能性については、扉の開閉音が50dB以下と静音仕様になっており、わずかな力で扉を開けられる軽い操作性を実現しています。さらに、上吊り方式を採用しているため、歩行時の妨げとならないバリアフリー設計となっているほか、戸先には手詰防止ゴムを装着して安全性に配慮するなど、誰でも優しく快適にお使い頂ける“ユニバーサルデザイン”の商品となっています。"


「バリアフリー」というと文字通り、段差がないことを想像しがちですが、「障害がない」という視点から考えれば様々な取り組みが可能ですよね。「静か」「開閉しやすい」だけでなく、「誤って手足を挟みにくい」「挟んでもケガに結びつきにくい」「ぶつかってもケガになるような突起が少ない」などといった方向での改善もどんどん進めていって欲しいと思います。

ちなみに我が家(集合住宅)は「高齢者対応住宅」ということで、あちこちに手すりが付いているのですが、これが以外に便利で使いやすい。バリアフリーやユニバーサルデザインは、文字通り誰にとっても嬉しい価値ではないでしょうか。

高齢化する分譲マンション

日本社会はもはや「高齢“化”社会」ではなく、「高齢社会」だと言われています。それを示す様々なデータが日々出て来ているわけですが、こちらも気になるニュースでしょう:

マンション世帯主4割が60歳超 進む高齢化、国交省調査 (47NEWS)

「分譲マンションの世帯主のうち60歳以上の人が占める割合が、昨年10月現在で過去最高の39・4%となったことが国土交通省の2008年度マンション総合調査で分かった。03年度に比べて7・8ポイント増えている。」

ということで、国交省はマンションのバリアフリー化が急務と考えており、「大規模修繕や建て替えをスムーズに行う支援策の充実」を今後の課題としているそうです。確かに古いマンションにはまだまだスロープすらないところも多く、これから住民が自分のマンションで事故にあう、というケースが増えてこないか心配です。

マンションの今年3月の契約率を見ると、首都圏では回復の兆しが見えるそうです。もちろん最近のマンションはバリアフリー対策が施されているところが多いですので、新しく分譲マンションを購入する人々は中高年になっても安心なわけですが、一方で上記のような既存分譲マンションでの高齢化が進んでいるというのは心配な話でしょう。国交省が対応に動く姿勢を見せているというのが救いですが、新しいマンションの売れ行きだけでなく、既存マンションのリフォームの進行についても世の中の関心が高まることを願います。

家具の出張サービス、という発想

徳島市で「家具の出張サービス」なるものが始まるそうです:

高齢者宅へ「家具の出張サービス」 来月から、徳島市など (徳島新聞)

徳島市立木工会館が提供するサービスで、家具や扉の修繕、家具類の取り付けなどに関する高齢者からの悩みに対応するものとのこと。具体的には

相談を受けた職員が依頼主宅を訪問して調査。内容によって応援団員が修繕、見積もり、採寸、アドバイスをする。より詳しい見積もりや施工は、協力業者として登録している家具、建具、デザインの専門業者を紹介する。費用は調査、見積もりまでは無料。

という内容だそうです。確かに家具は重かったり、かさばるものがほとんどですから、高齢者だけが暮らす家ではちょっとした移動・修理でも大変な作業になりますよね。また、「大規模なリフォームと違って費用も小額で『業者に依頼しにくい』と悩みを打ち明けられることもあった」とのこと。言われてみれば、こうしたニーズをこれまで誰が解決してくれただろう?と考えても、頭に浮かんできません。

木工会館を運営する、市地場産業振興協会の上杉和夫理事長は

高齢化の進展で、商品やサービスの提供場所は、今以上に店舗から在宅へ移っていく。こうした時代に合ったサービスを充実させ、木工業の復権につなげたい。

と話しているとのこと。この視点に立てば、「家具の出張サービス」以外にも様々なサービスが考えられるかもしれませんね。また類似のサービスが、徳島以外でも始まることを期待したいと思います。

ロボと暮らせる家

これも一種のバリアフリー住宅?大和ハウス工業が、人の手足の動きを助けるロボットスーツを着用したままでも動きやすい住宅の開発に着手したとのこと:

着用ロボ向けに住宅開発 大和ハウス、ベンチャーと提携 (中国新聞)

「ロボバリアフリー住宅」とでも呼べるでしょうか?介護用ロボット(実際にはロボット「スーツ」ですが)に配慮した住宅というのは面白いですね。実際、このような機械が普及するためには周囲の環境も変わらなければいけませんから、今回の取り組みは非常に意義があると思います。NIKKEI NETの記事によれば、単にロボスーツで動きやすいだけでなく、スーツの充電スペースも用意するとのこと。ロボスーツが備え付けられた住宅、という感じでセット販売することも考えられますね。

これまで住宅検索をするときには、「ペット可」「楽器可」などといった条件をつけることができましたが、今後は「ロボット可」のような条件設定も可能になるのかも?いや、それ以前に、こういった介護用品・機材が使える住宅が普通の世の中になって欲しいものですね。

なんちゃってバリアフリー

昨日の日経新聞夕刊を眺めていたら、不思議な言葉が目に飛び込んできました。題して「なんちゃってバリアフリー」。いったいどんな事を示す言葉だと思いますか?

この記事「これじゃ、使えない!『なんちゃって』バリアフリー -- 利用者の視点導入を」(日本経済新聞夕刊 2006年3月15日第13面)によると、「バリアフリーの体裁をしていながら実は障害者・お年寄りにとって使いにくい」という施設の事例は枚挙にいとまがないのだとか。例えば傾斜がきつすぎるスロープや、ベンチなどの障害物にぶつかってしまう点字ブロックなどなど。こうした施設を皮肉をこめて呼んだ言葉が「なんちゃってバリアフリー」です。

やっかいなのは、「なんちゃってバリアフリー」が単に施設の問題にとどまらないこと。例えば記事の中で、「車イス用の駐車スペースに置かれたカラーコーン」の事例が出てきます。僕もよく見かけるのですが、「健常者が勝手に止められないように置いてるんだな」ぐらいにしか思いません。ところがこれも立派な「なんちゃってバリアフリー」なのです。

よく考えると、本当にこのスペースを必要とする人が駐車しようと思ったとき、コーンをどかしてもらうように警備員にお願いする必要があります。さらに周囲に警備員がいない場合には、その人はクルマを降り、車イスに乗り、コーンをどかさなければなりません。「当事者の視点に立って考える」という姿勢が欠けているために、そのつもりがなくても「なんちゃってバリアフリー」を生み出してしまっているのです。

先日の記事(バリアフリーの検索)で、バリアフリーな生活環境を探すときにインターネットがどの程度役に立つのか?を考えてみました。現在もさまざまなサービスがあることが分かりましたが、「なんちゃってバリアフリー」という問題があるとなると、もっと深く考えてみる必要がありそうです。

日経新聞の記事では、当事者意識が欠けていることによって生まれる「なんちゃって」の問題を解決するためには「ソーシャル・インクルージョン」という発想が必要だと説いています。ソーシャル・インクルージョンとは、「教育や雇用のあり方を含めて社会のあらゆる場所に障害者を招きいれる発想」とのこと。つまり「この場所に体の不自由な人がいたらどうなるだろう?」と常に考えることです。

例えば家探しをしているときに、障害者やお年寄り、小さな子供がいる父親・母親の方々が書かれているブログを読んでみるというのはどうでしょうか。もしかしたら、引越しを考えている町に実際に住んでいる人がブログを書いているかもしれません。他人の視点に立ってみる、というのはなかなか大変ですが、当事者本人の言葉が聞ければ、きっとさまざまなことが見えてくるでしょう。事実、ブログではないのですが、日経新聞の記事ではリウマチ患者の自宅を訪問して実際に風呂場を見学することで、温泉の使い勝手を向上させたホテルの話が紹介されています。

ネットのおかげで、社会参加に障害を持つ人々とも簡単にコミュニケーションできるようになりました。自分自身の視点だけで住む街・住む家を決めてしまおうとせず、ブログやSNSを通じて他人の視点に立ってみるということが、これからの家探しに欠かせないことになってくるのではないでしょうか。

バリアフリーの検索

{左:aGFuZGljYXBwZWR1rg.JPG}娘が生まれてから、バリアフリーを意識するようになりました。ベビーカーでお出かけすると、建物のちょっとしたデザインが大きな障害になることがよくあります。また今の自宅は加齢対応住宅といって、廊下やお風呂場にちょっとした手すりがついているのですが、娘をダッコ/オンブしてドッコイショと立ち上がるときに重宝しています。

そんなわけで、次に引っ越すときもバリアフリーを考えた家を選びたいと思っています。それでは「バリアフリー」をキーワードにした場合、ウェブでどこまで家探しできるのでしょうか?

残念ながら、いまの住宅情報サイトで「バリアフリー」を検索できるものは多くありません。例えばある大手サイトでは、詳細検索機能の一部として「制震構造」「免震構造」「階建て20階以上」「性能評価書取得」「スケルトンインフィル」・・・などなど24項目もの設備/構造の条件を指定できるのですが、「スロープ」「手すりつき浴槽」などの条件は備えていません。

そこで前回の「緑化住宅」同様、フリーテキストで検索ができるスマッチ・サーチで「バリアフリー」をキーワードに検索してみました。するとありました、1,194件のヒットが。緑化住宅の場合とは異なり、住宅自体はバリアフリーに対応したものが多くある一方で、検索サービスの対応が遅れているようです。

一方で、バリアフリーが行われている町やお店を探すことは、ウェブからも楽に行えるようになっています。例えばグルメ検索サービスで有名な「ぐるなび」は、今年2月1日にシニア向けのサービス「ぐるなびシニア」をスタートさせました。「ぐるなびシニア」では、「バリアフリー」「急な段差や階段がない」といった条件で店舗を探すことができます:

ぐるなびシニア

また地方自治体でも、バリアフリー施設が検索できるサイトを開設しているところが数多くあります。ごく一例を挙げると:

札幌市バリアフリータウンマップ
ふくおかバリアフリーマップ
みんな安心お出かけマップ(滋賀県)

などなど。こうした検索サイトを活用すれば、現地に直接下見に行かなくても、バリアフリーが進んでいる環境を見つけることができるでしょう。本当は住宅情報サイトの中で、上記のようなサイトで得られる情報が参照できると良いのですが。

高齢化社会を向かえ、バリアフリーに対する意識はますます高まってきています。今後は高齢者向け住宅を専門に扱う業者、という存在も増えてくるでしょう。しかし高齢者でなくても、例えば僕のように小さな子供がいる家庭や、ケガを負ってしまった人など、バリアフリーを必要とする人々は多いはずです。住宅情報サイトでの対応も早く進むと良いですね。